本研究は,相談実行に伴う利益獲得や損失回避といった,相談への期待を測定する尺度(髙橋,2008)の妥当性を検討することを目的とした。基準関連妥当性を検討するため,大学生 200名を対象に相談への期待尺度(髙橋,2008)と自己開示動機尺度(榎本,1989)および対人ストレス反応尺度(髙橋,2008)との関連を検討した結果,相談への期待尺度は全て,親密感追及的自己開示動機との有意な偏相関を示した。情緒的支援への期待は,理解・共感追及的自己開示動機,悲しみと高い偏相関を示した。情報収集への期待は,相談的自己開示動機,怒り,悲しみとの低い偏相関を示した。発散への期待は,情動開放的自己開示,怒りとの高い偏相関を示した。以上の結果から,尺度の基準関連妥当性が確認されたと判断された。