地下鉄サリン事件とは,1995年 3月20日,カルト教団によって致死性の高い神経ガスが一般市民に対して使用された,世界でも例をみないテロ事件である。この事件により,被害者は,身体だけでなく,精神的にも大きなダメージを受けた(清水他, 2002)。その後,十数年経過しても,被害者には,後遺症と思われる症状が継続しており,外傷後ストレス障害(PTSD:Post-traumatic Stress Disorder)のハイリスク群の割合も高いままである(坂宗他, 2015)。本研究では,事件から20年を経た今でも,被害者が,身体的,精神的症状を残存させているのかについて検討する。本稿では,性別,年代別,事件後の体験別,受診時期別に症状を比較した結果を報告する。
(共同研究につき、本人担当部分抽出不可能)
共著者:髙橋幸子・仲嶺真・小林麻衣子・藤田浩之・松井豊