本研究は,東日本大震災で被災した自治体で働く職員の,急性ストレス反応(ASR)の実態を明らかにすることを目的とした。宮城県の沿岸部2自治体と内陸部1自治体に975票を配布し, 637名(回収率65.3%)から回答を得た。分析の結果,自治体職員のASRは解離性症状や睡眠障害が多く,身体症状が少なかったことから,PTSDや抑うつ発症のリスクが示唆された。地域別のASR得点比較では,沿岸自治体職員のASR得点が,内陸自治体職員よりも有意に高く,量反応関係が認められたと解釈された。ASR得点は,従来の知見通り被災経験に規定された。ただし,ASRの規定因は内陸と沿岸とで異なっていたことから,メンタルヘルスケアは被災状況に合わせて地域別に構成する必要があると考えられた。
(共同研究につき、本人担当部分抽出不可能)
共著者:髙橋幸子・桑原裕子・松井豊(筆頭)