東日本大震災で被災した宮城県の3自治体(内陸部1自治体・沿岸部2自治体)に震災以前から勤務する全職員を対象に,心的外傷後ストレス症状に影響を及ぼす要因を検討する質問紙調査を行った.有効回答は615名であった.心的外傷後ストレス症状の強弱に影響を及ぼす要因として,被災体験の他,発災時の業務体験,発災時から調査時までの業務状況を尋ねた.発災から1年4カ月後の心的外傷後ストレス症状は,改訂出来事インパクト尺度(IES-R)を用いた.その結果,ハイリスク者(25点以上)は,全体の26.8%であ り,沿岸部の職員ではハイリスク者が35.0%に達した.心的外傷後ストレス症状に与える影響を重回帰分析で検討した結果,職員の被災体験や業務体験(共感疲労)は,心的外傷後ストレス症状に影響を与えていた.また,発災時から続く多忙感は,心的外傷後ストレス症状に影響を与えていた.(共同研究につき、本人担当部分抽出不可能)共著者:桑原裕子・髙橋幸子・松井豊
本研究では,被害から20年を経た地下鉄サリン事件の被害者および被害者家族が事件によって受けた影響の実態を明らかにすることを目的として,被害者と被害者家族の心身の状態,事件が生活や家族関係,職場や人間関係といった人生に与えた影 響,現在の心身状態の規定因を明らかにするとともに,被害者と被害者家族それぞれの特徴や違いについて検討した。その結果,先行研究と同様に,被害者は現在でもサリンの後遺症と見られる各症状を有しており,特に「目の症状」を悪化させていること,事件後に病院できちんと対応してもらえなかったと感じていた人ほど各症状が重いことが明らかになった。(共同研究につき、本人担当部分抽出不可能)
共著者:髙橋幸子・仲嶺 真・小林 麻衣子・藤田 浩之・松井 豊
(筆頭)