本研究は,自然災害から復興した地方公共団体職員を対象に,被災前の良好な職場環境が職場ストレッサーおよびストレス反応に影響する過程を明らかにすることを目的とした。職員943人を対象とした横断的な質問紙調査の結果, PTSD症状を有する高リスク者は全体の8.6%,気分・不安障害である可能性が高い者は全体の6.0%であった。パス解析の結果,被災前から職場環境が良好であるほど、被災後に住民とのポジティブな関わりが増えネガティブな関わりが減ること,業務上の人間関係の苦労が減ることが明らかになっ た。また復興業務で人間関係の苦労や業務多忙,業務の自己統制感の無さを多く経験するほど PTSD症状と気分不安障害の症状が強いことが明らかになった。これらの結果は,日ごろの良好な職場環境が被災前の備えとして,復興業務に伴う職場スト レッサーやストレス反応を抑制するという可能性を示唆していた(共同研究につき、本人担当部分抽出不可能)
教書者:髙橋幸子・松井豊(筆頭)