【目的】肥満は、内臓脂肪蓄積や酸化ストレスから糖尿病性腎症を起こすことにも繋がることが知られている。糖尿病性腎症を食生活の面から予防できるか機能性食品を用いて検討することとし、抗酸化作用や内臓脂肪蓄積量の減少などを有するポリフェノールのフラボノイド系のカテキンに注目した。このカテキンを摂取した糖尿病ラットの体内脂肪蓄積量や腎組織への影響などを調べることを目的とした。【方法】肥満2型糖尿病モデルラットSDTfatty/Jcl 5週齢雄ラットを4週間飼育した。実験飼料は普通食をControl群(n=6)とし、2.5% カテキン添加した群をCatechin 群(n=6)とした。体重増加量、総飼料摂取量、後腹壁脂肪重量、酸化ストレスなどの測定、腎臓をPeriodic Acid Schiff’s(PAS)染色し組織観察を行った。本研究は、本学の動物実験研究倫理審査部会の承認(2023-A004)を得て行った。【結果】終体重、総飼料摂取量では、群間における差はなかった。後腹壁脂肪重量、酸化ストレス、インスリンはControl群よりCatechin群で有意に低値を示した。腎臓組織では、Control群のメサンギウム領域は毛細血管腔より大きくなり、糸球体が分葉化していた。Catechin群のメサンギウム領域は毛細血管とほぼ同等となった。糸球体はほぼ正常の大きさで、メサンギウム細胞と基質の増加もほとんど見られなかった。【結論】2型糖尿病モデルラットにカテキン摂取した際、腎臓組織ではメサンギウム細胞の損傷を抑制することが示唆された。カテキン摂取が酸化ストレスや糖尿病性腎症の炎症を抑制し、糖尿病の予防に役立つことが期待される。