冷凍ほうれん草と乾燥ほうれん草について、水溶性成分であるシュウ酸とカリウム量を測定し、これら食品の有用性について検証することを目的とした。冷凍ほうれん草は10製品、乾燥ほうれん草は3製品を購入した。冷凍ほうれん草は冷凍のままのほうれん草(冷凍試料)と茹でた冷凍ほうれん草(冷凍茹で試料)を、乾燥ほうれん草は乾燥ほうれん草(乾燥試料)と沸騰した湯に5分間浸漬したほうれん草(乾燥浸漬試料)を試料とした。冷凍ほうれん草のシュウ酸およびカリウム量は、冷凍試料より冷凍茹で試料で全て低値であった。乾燥ほうれん草は、カリウム量は全ての試料で乾燥試料より乾燥浸漬試料で有意(p<0.01)に低値であったが、シュウ酸は、全ての試料が乾燥浸漬試料で高値であった。茹であるいは熱湯浸漬による減少割合は、シュウ酸よりカリウムで高かった。茹でるあるいは熱湯浸漬により、水溶性成分であるシュウ酸およびカリウムが減少することが明らかとなった。乾燥ほうれん草のシュウ酸が乾燥試料より乾燥浸漬試料で高値だったことは、原材料にブドウ糖が使用されていたためと考えられた。本研究の結果から、平常時および災害時に、家庭および給食施設で、対象者により使用方法を検討することで、これら野菜を有効利用できると考えられた。