日本映画大学教授・川崎賢子氏は、作家・演劇評論家として多大の業績を持ち、宝塚歌劇研究の第一人者としても知られる。本学でも2014年10月に、総合文化研究所主催の講演会「宝塚歌劇100年の文化史的意義」の講師として招いた他、文芸学部劇芸術演習ⅠBの学外講師も依頼している。その川崎氏が、『ベルサイユのばら』『風と共に去りぬ』などで知られ、現在の宝塚を代表する演出家の一人である植田紳爾氏に対して行なった長時間におよぶ聞書きをまとめたものが本書である。聞き手の綿密な準備と的確な質問、語り手の豊富な知識と経験を惜しまずに披露する率直さによって、宝塚研究のみならず、演劇史的にも貴重な資料となった著作の意義を、筆者の視点も交えながら論じた。