男役のイデア(1)―春日野八千代―
共立女子大学文芸学部紀要第59集
宝塚歌劇における「男役」とはいかなる存在か。プラトンの「イデア論」を援用しつつ、その本質について考察し、仮説を掲げた。それを様々な事例において実証する試みの手始めとして、長らく男役の代表とされ、昨年逝去した春日野八千代を取り上げた。最後の主演作品である「花供養」を中心に、男役のスタイルを確立するために長年にわたって続けられた研鑽の過程とその到達点について論じた。