鉄は人体の機能維持に不可欠な栄養素だが、令和元年国民健康・栄養調査結果では、鉄の摂取量はほとんどの年代で推奨量を満たしていなかった。そこで、調理用鉄製品として販売されている鉄玉を日々の調理に鉄補給の目的で使用できないかと考えた。本研究は、料理に鉄玉を用いた際の鉄量を明らかにすることを目的とした。その結果、全ての料理の鉄量は、鉄玉無しの料理の鉄量に比べて有意に高値であった(p<0.05)。重回帰分析の結果、料理の鉄量に影響を及ぼす因子(pH、総酸度、鉄玉投入後の調理加熱時間)の中で、pHが最も影響していた(β=-5.71, p<0.05)。白飯、肉じゃが、かぼちゃの煮物、みそ汁の献立の場合、1食当りの鉄量は鉄玉無しで2.3 mg、鉄玉の使用で10.8 mgとなり、調理に鉄玉を使用することにより鉄量が8.5 mg増加した。本研究の結果から、家庭や給食施設での調理に鉄玉を使用することにより、不足分の鉄を補えることが示唆された。共同発表者:樋口誉誌子、岩本直樹、今村杏優花、白鳥愛依、吉川夏野、細山田康恵、山田正子、瀬戸美江 掲載頁:p.46