キビナゴはウルメイワシ科の小魚で、鮮度の低下が極めて速く、冷凍保存しても味が劣化し、長期の保存が不可能なため、簡単な調理法が使用され、局地的に消費されているにすぎない。そこで、茶のもつ抗酸化作用によりキビナゴの脂質過酸化が抑えられるのではないかと考え、発酵度と原料茶の品種が異なる台湾の緑茶(龍井)、烏龍茶、凍頂烏龍茶、包種茶、紅茶の5種類の茶を用い、茶熱水抽出物によるキビナゴ脂質過酸化活性に対する抑制効果を検討し、次に、実際のキビナゴ魚体を茶抽出液に浸けた場合の脂質酸化劣化度に対する有効性も検討した。その結果、EGCとEGCGの割合が多く、総ポリフェノール量中のカテキン含量の割合が最も多い凍頂烏龍茶がキビナゴ脂質過酸化活性に最も有効であることがわかった。次に、凍頂烏龍茶を用い、キビナゴを茶抽出物に浸漬した際の脂質酸化抑制効果をPOV、CVから検討した。その結果、茶に浸けたものは浸けないものに比べ脂質酸化が抑えられ、キビナゴを茶に浸けることで、脂質酸化にも有効であることがわかった。(共同研究につき本人担当部分抽出不可能)
共著者:Yoshie Seto,Chin-Cheng Lin,Yasushi Endo and Kenshiro Fujimoto