シンポジウムの紹介より
「日仏女性研究学会では毎年3月8日の国際女性デーに合わせて国際シンポジウムを開催し、女性をとりまく様々な問題やジェンダーについて、主に日本およびフランスの視点から考察してきました。
今年度のテーマは「性と教育を考える――日仏比較の視点から」です。性的同意や妊娠中絶を含むリプロダクティブライツをめぐる問題は、近年のフランスであらためて耳目を集めており、フランスにおける性教育は、国家および地方レベルの政策では普及・進展がみられるものの、現場では抵抗にさらされているという実情もあるといいます。一方日本でもリプロダクティブヘルスライツをめぐる課題は山積しています。とりわけ性教育は2000年代のバックラッシュの対象でしたが、2017年の性犯罪に関する刑法の110年ぶりの改正や2023年の性交同意年齢の引き上げや不同意性交罪の成立などを受け、今後ますます注目を集める課題になっていくと思われます。
こうした性教育の問題に関し、フランスと日本との比較という視点からの取り組みはいまだあまりなされていません。そこで本シンポジウムでは、リプロダクティブライツ、とりわけ性的同意についての理解など、若年層に向けた教育の重要性を意識し、日仏の学校教育における性教育について考察することを目的としています。そのため、両国の教育現場における実践を紹介すると同時に、性教育と政治の関係について検討し、さらにこのテーマを扱った2022年のクララ・エラルフ監督のドキュメンタリー映画『L’École des Hommes』に日本語字幕をつけて上映する時間も設けます。」