H.D.の代表作の一つである長編詩『トリロジー』のテキスト分析を試み,その中に見られる言葉遊びを読み解くと同時に,我が国の民衆宗教の女性シャーマンたちにも多く見られる連想や語呂合わせのレトリック(言葉の錬金術)、言霊思想、神話の書き換え,豊穣神の復権,女性の自己肯定,心と体のヒーリングといった複数の共通項を検証し,その社会的背景や感性の類似点を探る. 戦争の荒廃によって生きる力を失ったものたちの再生,歴史の中で失われてきた言葉の力の再生という二つの再生のテーマにも焦点を当てる.p.71~p.94