(その他論文・報告書・翻訳) 19世紀のアメリカ中西部における二言語教育の導入と展開
平成7年度文部省科学研究費・総合研究(A)・代表中村雅子「アメリカ多元文化社会における国民統合と教育に関する史的研究」 P85-P99
19世紀のアメリカ合衆国中西部において、ドイツ系移民が特に集住した3都市のセントルイス、シンシナティ、ミルウォーキーを取り上げて、各々の公立学校制度での英独語の二言語教育導入のプロセスを分析した。二言語教育の形態、実施、禁止のプロセスを、都市政治におけるドイツ系移民の政治的優位性の誇示、アングロサクソン系の州議会を利用した反対という政治文化的葛藤を背景に概説した。加えて、二つの世界大戦の影響が二言語教育の後退、ひいては多元文化社会の否定に大きく関わっていることに言及した。