イリノイ州における教育行財政改革の動向
－教育費税額控除法(Education Expense Credit Law)の導入を中心に－

聖徳大学児童学研究所「児童学研究」第7号　P27-P32

2000年にイリノイ州では、児童生徒のいる世帯に一定の教育費を税額控除する制度が導入された。公立・私立学校のいずれに通学している場合でも認められ、学校選択の自由と学校間の競争が意図されたが、州財政の悪化する年度に重なり、所得税収入は減り公立学校関連の州予算は削減された。本論では、低所得層の教育機会の平等を図るための控除政策が、時宜を違えば、貧困世帯出身の児童生徒への補助の打切りや、教育機会の保障すら危ぶまれる事態を生ずる危険性があることを示した。