19世紀のミルウォーキーにおける二言語教育の導入と展開-公立学校のドイツ語教育に着目して-
東北大学教育学部教育行政学・学校管理・教育内容研究室「研究集録」29号P55-P70
本論では、1860-1918年にアメリカ合衆国ウイスコンシン州ミルウォーキーの公立学校における英独語の二言語教育の導入・廃止の経緯と実践状況を説明した。州法により、学校において一般教科の外国語による指導を禁じた同州では、ドイツ語は外国語の一つとして小学校教育に導入された。授業時数が少なく効果が危ぶまれながらカリキュラムが維持されたのは、そのために雇用されるバイリンガルの教師の存在が大きい。彼らが用いる非公式かつ日常的なドイツ語により、ドイツ系移民子弟の公立学校教育が成立したことを結論づけた。