本論文では、アメリカ合衆国メイン州のtown tuitioning制が、19-20世紀転換期の連邦レベルでの中等教育の質向上政策に影響を受けて維持されたことを明らかにした。①高等教育機関側の求めから、NEAによる中等教育の質の維持向上の要請と、②連邦政府が職業教育の振興を図るために制定したスミスヒューズ法とその補助制度は、全米のハイスクールカリキュラムの改革を促した。メイン州では、該当年齢の人口が微増で広域に分散する状況の下、まずは①に応答してハイスクールの統廃合を進め教育課程の拡充を図った。そのため、居住地から遠距離の学校に通学を余儀なくされる進学者が増え、town tuitioningは維持存続が可能となった。