小麦粉グルテンのエタノール可溶性タンパク質であるグリアジンを陽イオン交換樹脂を用いて脱アミド化することを試みた。また、脱アミド化した試料と水との親和性は、低水分域では水分収着等温線の測定およびその熱力学的解析により、高水分域では溶解度の測定により評価した。
(1)陽イオン交換樹脂CE(COO-)を用い、樹脂量0.2g溶液で6時間処理することで、全アミド量の約28%に相当する1.08mmol/gタンパク質が脱アミド化されたグリアジンが得られた。
(2)水分収着等温線の測定により脱アミド化を行うことでグリアジンの水の収着量を高められることが分かった。
(3)水分収着等温線の熱力学的解析から、脱アミド化による水との親和性の向上の程度が定量化された。
(4)脱アミド化により、グリアジンの水および塩化ナトリウム水溶液に対する溶解性が増すことが明らかとなった。食品化学、物理化学的手法を用いた研究である。p884-890 本人担当分:研究全般 共著者:熊谷日登美、則松優子、橋爪尚子、櫻井英敏