BSAおよびβ-ラクトグロブリンの加熱凝集ゲルに関して、添加塩の濃度・種類がゲル内の凝集体構造およびゲルの弾性率の挙動に及ぼす影響についてフラクタルの観点から検討を行った。添加金属塩としては塩化ナトリウム、塩化カルシウムを用いた。共焦点顕微鏡により、添加塩の種類によるμmオーダーにおける凝集物の性状の違いから観察された。その画像解析から得られたフラクタル次元は、添加塩の濃度・種類によって異なる値を示した。また、添加塩濃度を変えることにより、Shihらの理論におけるStrong Link, Weak-Linkの両方のtypeの弾性挙動を示すゲルが得られることが確認された。いずれのゲルに関しても、画像から得られたフラクタル次元の値は弾性率の濃度依存性から得られたフラクタル次元と近い値となり、金属塩添加による弾性率の挙動の変化は凝集体のフラクタル構造の変化の結果として理解できることが示された。高分子科学および複雑系の科学的手法を用いた研究。 p3807-3812 本人担当分:研究全般、共著者:T.Hagiwara and T.Matsunaga