咀嚼や嚥下に関連する食品の物性について概説した。 超音波パルスドップラー法によって得られた咽頭部最大速度Vmax、および嚥下音測定によって得られる咽頭内を食塊が流れるのに必要な時間t2は、誤嚥のリスクの優れた予測因子であると考えられる。 増粘剤溶液の場合、特に20〜30 s–1以上のずり速度で測定された粘度μは、嚥下困難者の液状介護食品の指標になる。 「かたさ」は、テクスチャプロファイル分析(TPA)によって得られたパラメータの中で、半固体食品に最も適した指標であると考えられる。 Vmaxとt2は、咽頭内の流速分布の観点から、食品の「凝集性(すなわち、食塊の形成のしやすさ)」の指標と解釈することができる。 一方、TPAによって得られる「凝集性」は、食物の塊を形成する容易さを反映していない。