我々大人が「楽器」と認識しているモノを使うときには、即興であれ何であれ、「音楽(または楽曲)を演奏する」という意識を持つ。あるいは少なくとも「そのモノを使って音を出す」という目的を最初から持つことが多い。しかし、乳幼児が「楽器」と呼ばれるモノを扱う様を見ていくと、まさに多様な楽器(モノ)の使い方をしていることに気付かされる。また、楽器ではないモノをまるで「楽器のように」使って音を鳴らす様子もしばしば見られる。このように、必ずしも楽器を「音・音楽を奏でるモノ」という前提でとらえているとは言えない乳幼児、あるいは、楽器の「一般的な使い方(奏法)」を知る前の乳幼児の事例から、乳幼児にとって楽器がどのようなものか検討を加えた。