本発表では,実際にモノを使って音を出す子どもの事例から、乳幼児が「楽器」を「音を鳴らすモノ」として扱う以前に「身の回りにあるモノとして探索している」姿が見えてくることを示した。さらに、乳幼児の音への気づきは、聴覚刺激によるものだけではなく、音を出す際の自分の身体感覚や、モノの振動からも音を感じていることを示した。これらの子どもの姿から、保育実践の場で「楽器を探求する過程を作る」「多様な感覚を通して音を感じる」ということを念頭に置いた楽器活動の必要性を指摘し、幼児を対象とした①楽器に触れ、楽器を見ながら音も感じることを目指した実践、②子育て支援の場における楽器を含めた環境設定と子どもの様子を紹介し、保育場面における楽器の扱いについて検討を加ええた。