幼児期におけるモノとのかかわりは,乳幼児の心身の発達にとって重要な役割を果たしている。なかでも,乳児が夢中になってガラガラを振ったり,起き上がりこぼしで音を出し続けたりするように,「音の出るモノ」は子どもにとって大きな意味をもつ。本研究では,幼児を対象に,保育現場において打楽器を用いた活動を行い,その事例から幼児とモノ(楽器)とのかかわりについて分析するものである。保育における楽器を用いた活動については,とかく合奏など「楽器を演奏する」活動がクローズアップされがちだが,本研究では,楽器をひとつの「モノ」ととらえ,そのモノとかかわる幼児の姿から,幼児期における楽器を用いた活動の展開について考察したい。