赤ちゃんは生後間もなくから物理的環境を探索する中で自分自身を知覚し、「生態学的(エコロジカルな)自己」を確立していくと言われる。音の出るモノと赤ちゃんとのかかわりについてこの視点から考えてみたい。大人は楽器も使って音を仲立ちに赤ちゃんと遊ぶ。その遊びは他の多くの遊びと同様に社会的、文化的相互交渉となり、遊びの中で赤ちゃんは「音の文化的実践」に参加していく。以上のような筋道を立て、企画者たちは1-2歳の子どもたちが「音の出るモノ」にどのように出会いどのように扱い、さらには音をどのように操作するのかを観察し、観察に基づくエコロジカルな視点からの音楽表現カリキュラム構築を試みるものである。本発表では,乳幼児と楽器との関わりに関するいくつかの既収集データに加えて、本企画のために私たちは2023年5月からまどかこども園1歳児クラスにおいて、子どもたちが楽器に出会い、楽器で遊ぶ様子の観察を実施した。