夏目漱石に関する論文集。全252頁。 共著者-佐藤泰正、亀井秀雄、相原和邦、高木文雄、佐々木充、勝田和学、伊豆利彦、玉井敬之、石井和夫、内田道雄、小池正胤、岡三郎、榎本隆司、小泉浩一郎、鷺只雄、平岡敏夫、中島国彦 本人担当部分:「子供のいる風景」 (132頁~144頁) 論文。 漱石の作品全体から〈子供〉が重要な意味を持つものを取り上げ、漱石が希求した〈子供〉のまっすぐさ・純粋さがどのようなものであるかを考察した。『吾輩は猫である』の子供たち、『坊っちゃん』の主人公の子供らしさ、『門』に登場する、子供がたくさんいる家と全くいない家の対照、『彼岸過迄』の宵子の死の意味、『こころ』で先生と〈私〉が郊外に散歩に出たときに現れる、犬を伴った少年、そして最後の『明暗』の登場人物のひとり、藤井の息子・真事(まこと)の造型などを通して、漱石が〈子供〉に託したものをそれぞれの作品に即して解析した。