『こころ』はどのように書かれたか
「江古田文学」第52号(日本大学芸術学部文芸学科)
『こころ』(大正3年連載)という小説を、作者漱石が身近にあった素材をどのように使って書いたものであるのかを、執筆当時、明らかに利用している「手帳」を手がかりにして考察した。『こころ』の素材として利用された記述は、明治44年に漱石が鎌倉に避暑用の家を借りたところから始まる。「手帳」の記述と、フィクションとして書かれた『こころ』との落差から、『こころ』がどのような発想で作られた物語なのか、追求した論考である。 190頁~198頁