初めは、世界の映画状況の中での日本映画の位置づけを1970年代を中心に考察する予定だったが、その前提となる70年代のアメリカ映画について概観するだけに終わっている。ここで扱った、「プロダクション・コード」〈日本では映倫〉の緩和によるバイオレンス・シーンや性的シーンの過激化、汚い言葉・セリフの氾濫。独立プロ作品や低予算映画が増え、ロケ撮影中心の、身近で切ない題材やテーマがもたらした〈リアリズム〉の傾向などは、少し形が変わっているだけで、そのまま日本映画の70年代にも当てはまる。この時代以降、映画は急速に「国際化」を迎え、言い換えれば「無国籍化」「平均化」していき、イランやインド・中国・韓国のような映像文化的に若くて活気のある国を除き、マンネリ化する。少なくともそこまでは論じておきたかった。続編を書く予定である。 1頁~15頁