『夢十夜』試論 ―〈過去〉の呼び声―(上)
「共立国際文化」第8号
夏目漱石の『夢十夜』(明治41年)は、現在もっとも研究対象として取り上げられる機会の多い作品であるが、10話の〈夢〉の物語がそれぞれどんな素材を用いているのか、作者の漱石の経験や〈過去〉の伝記的事実の面から考察されたことは少ない。そこで小論では、漱石自身がどのように自分の〈過去〉の経験や体験を『夢十夜』に反映させながら書いているかを検討してみた。題名に「(上)」とある通り、未完である。 17頁~28頁