論文というよりも報告に過ぎないが、一応この欄に載せた。総合文化研究所のプロジェクトとして援助を受けた成果の一部の報告である。参加した四名に共通しているのは、芸術作品が作られる時の外国から受ける影響力に対する興味である。 共著者 谷一尚、日高薫、宇野直人 177頁~192頁 本人担当部分:「漱石の受けたイギリスの影響 ―ロンドン、アディスン、長井代助―」 『それから』(明治42年)の主人公・長井代助は、友人から「アービター・エレガンシアルム」arbiter elegantiarum というあだ名をつけられる場面がある。「美の審判者」といった意味のラテン語だが、「アービター」と英語読みにしているのでも分かるとおり、これは英語の文献からの引用であり、この言葉は18世紀のジョンソン博士の書いたアディスン伝からの引用であることを指摘し、その意味を考察した。 190頁~192頁