大江健三郎の演劇装置(1)『水死』を中心に
共立女子大学文芸学部紀要 第58集
小説が演劇や俳優をモチーフとして使用することで、作品世界はどのような構造を可能にするか。大江健三郎の小説『水死』(2009)を題材に、二編にわたって検証する。(1)では、演技的身体である俳優が大江作品においてどのような性質のものとして描かれているかに着目、『水死』という作品全体との関係を考察する。