音数律は、歌が歌われなくなってから始まるというy通説があるが、本稿では、中国少数民族の歌われている歌掛けには、歌われているにもかかわらず音数律が存在することに注目し、音数律を「歌われる歌の音数律」と「歌われない歌の音数律(書かれてある音数)」とに分けるところから考察を始める。そして「歌われる歌の音数律」が音楽的には基本リズムに相当するところから、それは原語と音楽のリズムを双方向的に結びつけ、ずれをもたらす変換装置であると主張する。またそのずれを歌われる歌の持つ呪性であるとしている。(p135~145)