中国西南部に居住する少数民族ぺー族、チワン族、リス族、トン族の歌掛け歌を、音数律という視点から捉える試みである。それぞれの少数民族の歌謡は五音、七音音数律を指向する傾向が認められた。それは各少数民族の言語的特性そのものに還元することはできず、より普遍的な何らかの原因を想定する必要があること、歴史的に中原王朝文化と関係をもった諸民族においては、その交流の中で漢字を媒介としつつ五音、七音音数律が試行される場合があること、その一方でかけ合わせられる歌の要求としても五音七音音数律は起こっていることを確認した。(p189~201)