「独詠的恋歌の生成」
「古代研究」第40号
モソ人の独詠的恋歌(嘆きの歌)において、その個人的な思い自体は、その場に不在の恋人に向いていながら、その空間において独唱的恋歌は仲間との歌掛けとなっている。このような独唱的恋歌の生態を具体的に捉えつつ口誦の歌掛けにおける独唱的恋歌としてモデル化した上で、『万葉集』の独詠的恋歌がその機能を継承した形で詠まれているのではないかと考え、防人歌などを素材としつつそれが具体的にどのように機能しているのかを指摘した。(p15~26)