「女鳥王物語の享受」
「日本文学」第618号
古事記女鳥王物語において、主人公女鳥王は天皇に反逆し誅殺される反逆者と意味づけられているにもかかわらず、女鳥と恋人速総別との愛の歌が掲載されているため、我々は二人に共感し、これを二人の悲恋物語と読んでしまうことがある。本稿は、古事記がそのようにも読めるように書かれていることに注目し、中国少数民族リス族の駆け落ち物語の享受のあり方をモデルとして、そこに口承の物語の享受のされ方が意図的に用いられていることを論じた。(p1~11)