「モソ人の歌掛けと万葉和歌―古代和歌における比喩表現の生態論的研究―」
工藤隆編『声の古代 古層の歌の現場から』
古代文学会叢書2として刊行された論文集の一篇。同書は工藤隆編で、アジアの少数民族地域や奄美・沖縄地域などで、フィールドワークを通して口承の神話や歌を研究している6人が、それぞれのフィールドから日本古代文学を論じたものである。応募者は中国少数民族モソ人の歌掛けを取り上げ、比喩の多義性を用いて歌を連結していくさまざまな方法が如何なる意味を持つのかを論じた上で、同様の口誦文学レベルの連結の技が万葉和歌にも存することの意味を述べた。(p113~169)