「海柘榴市での闘の歌垣」
「古代研究」第34号
本稿は、「歌裁判」とも言われる中国少数民族モソ人の悪口歌の歌掛けを、王権以前の歌垣のモデルに用いて、古事記シビ物語や日本書紀影媛物語を論じたものである。そこには王権以前の歌垣の論理に従って聴衆による裁定を希求するシビや影媛を、反逆者として誅殺する王を描くことにより、個の生をも統治する王権の裁定の超越性開示という王権の物語としての意味づけがある。(p60~70)