「歌垣の文学史的考察」
「古代研究」第31号
異類始祖神話は広く世界的に分布する話型であるが、歌垣的行事を有する民族においては、異類始祖神話が歌垣の起源神話となったり、同神話に歌垣が場面として挿入されたり、歌垣歌の歌い手が同神話の主人公の立場で歌ったりというような、緊密な関わりを示す。そもそも異類始祖神話にとって歌垣は必要条件でないにもかかわらず、このような緊密な関わりをもつのは、始祖神話の伝承される場として歌垣があったからだと論じ、そこから、歌垣においてヲケが大魚(女性名)を得るという古事記シビ物語を論じている。(p12~21)