第三者の卵子提供を受けた女性に対する看護実践時の女性看護者の態度を明らかにすることを目的とし、第三者の卵子提供により妊娠、出産した女性へのケアを経験したことのある女性看護者5名を対象として、その看護実践の際の感情や思考について看護職者5名に半構造化面接を行い、質的帰納的に分析した。内容分析の結果、6つのカテゴリーが抽出された。それらは[子どもの成長と家族関係の構築に対するネガティブ感情]、[母性を尊重する態度]、[女性の権利と子どもの福祉の間での葛藤]、[自分の思いとは切り離し、職業的倫理観を保つ]、[特殊なケースをケアすることにより生ずる思いやストレス]、[一人の女性としての不妊症への思い]であった。看護職者らは複雑な感情とストレスを抱えながら看護を実践していることが明らかになった。このような思いの理解と他職種との連携を含む職場環境の整備が必要である。
(共同研究者:岸田泰子、山口雅子)
担当部分:データ収集,分析,発表