日本における思春期の子どもをもつ親の役割の実態と子どもの健康観への影響を検証し、思春期の子どもをもつ親支援の一助とすることを目的として調査を行った。日本の6つの中学校の生徒とその保護者2,521組を対象とした無記名自記式質問紙調査を実施した。回収された調査票のうち本研究では、親子双方から返信があり、さらに回答した保護者が父母であった477組を分析対象とした。子どもの性別は男子219名、女子258名であった。子どもの平均年齢は14.0歳であった。保護者は41名が父親、437名が母親であり、平均年齢は43.0歳であった。
親役割診断の下位尺度と子どもの主観的健康観との相関係数を調べたところ、干渉に負の相関(P<0.05)、自信に正の相関(P<0.01)が認められた。一方、親の評価による子どもの健康と親役割との間には干渉に負の相関(P<0.01)、受容、自立促進、自信にいずれも高い正の相関(P<0.001)が認められた。思春期の子どもの健康増進のために、家族へのケアとして、親の養育態度が子どもの健康に影響する可能性を親に啓蒙するとともに、養育態度に自身を持たせるような支援の場を提供することが必要である。