『源氏物語』夕顔巻「海人の子なれば」考
『古代文学研究』第二次 第9号
夕顔の造型を「海人の子なれば」を起点に読み解いてみた。源氏物語以後の作品である狭衣物語にも狭衣と飛鳥井女君との間で同様の引用があり、そこから逆照射しつつ、夕顔像を探ってみた。「海人の子」の淵源には、『万葉集』などに見られる仙女としてあり、そのことで身分の低い女君たちが、光源氏の、また狭心の心をとらえる女性として描かれたと考える。