『源氏物語』催馬楽引用再考――「同音グループ」という特質から――
共立レビュー
『源氏物語』には多くの催馬楽が引用されているが、これまでの催馬楽引用の論は詞章に注目したものがほとんどであり、その旋律等音楽面からの考察はほとんどなされてこなかった。しかし、近年、催馬楽の楽譜読解の研究がすすみ、音楽的特徴が徐々にあきらかになってきた。本論は、そういった音楽面での研究の成果をうけて、催馬楽の「同音」という特徴に注目し、物語における催馬楽表現の読解を試みたものである。