平安中期の「折り枝」表現
表現研究
平安時代の文学作品には、「折り枝」を用いたコミュニケーションが多くみられる。手紙を送るときに、季節に合わせた植物の折り枝を送る、という形ももちろんあるが、「折り枝」のみを送る場合や季節にあわないものを送る場合など、その用い方は様々である。折り枝を送るという行為は、言葉とまた違った表現性を獲得し、平安時代のコミュニケーションツールとしてはたらいていた。本論文では、平安中期の折り枝表現の特徴を、歌集(特に私家集)や日記、物語から探った。そのことで折り枝表現の系譜もうかがうことができた。