〈赤〉色の手紙ー『うつほ』『枕草子』と『源氏物語』
共立女子大学『文学芸術』
平安期の主要な伝達ツールの一つに「手紙」がある。特に恋文は、男と女の関係を結ぶ際に非常に重要視される。発信者は、和歌の内容はもちろん、筆跡、そして紙の選び方まで、工夫をこらし、受信者もその和歌内容だけでなく、筆跡や紙の種類や色からも相手の自分に対しての「想い」を読みとってゆく。本稿では、特に手紙の「色」に注目し、物語内での働きを探ってみた。