米国、日本、西欧諸国において1960年代に展開した様々な社会運動の国際比較を試みた、日本で初めての実証的共同研究の成果。1960年代の様々な社会運動に見られる、運動グループ間の「越境」と「国際的越境」という二重の「越境」に焦点を当て、さらに、社会運動とその「越境」が各国の文化変容に与えた影響も考察したもの。全400頁。
編者:油井大三郎、共著者:油井大三郎、デーヴィッド・ファーバー、梅崎透、藤本博、小塩和人、ケヴィン・ゲインズ、藤永康政、内田綾子、土屋和代、ベス・ベイリー、栗原涼子、豊田真穂、井関正久、中村督、八十田博人
本人担当部分:第15章「イタリア・カトリックの「六八年」―ミラーノの学生、聖職者の抗議運動を中心にー」(pp.305-329)
新左翼の学生運動や労働運動に関心が集まるなかで見過ごされて生きたイタリア・カトリックの学生・聖職者が1960年代に取り組んだ社会運動について、特にミラーノを舞台とするカトリック聖心大学の学生運動や聖フェルディナンド教会の聖職者による教会占拠などが目指していた課題を、フィレンツェ郊外のイゾロットのコミュニティー活動等、他の都市の運動も参照しならがら、分析した論文。