『帝国の長い影　20世紀国際秩序の変容』（MINERVA 西洋史ライブラリー 89）

ミネルヴァ書房

20世紀の国際秩序の構造と変化を、イギリス帝国を中心とする帝国の国際関係史から明らかにする共同研究の成果。帝国主義時代におけるイギリス帝国と、フランスやポルトガルなど他の帝国との競合や共存関係の検討を含め、一次史料を駆使した実証や事例研究により、新たな視角から帝国を検討するもの。全304頁。
編者：木畑洋一、後藤春美、共著者：半澤朝彦、酒井哲哉、池田朋子、芝崎祐典、岡部みどり、松沼美穂、古泉達矢、八十田博人、原田真見、後藤春美、浜井祐三子、木畑洋一
本人担当部分：第８章「戦後イタリアの『アフリカへの帰還』―小帝国の帝国意識と大帝国との関係―」（pp.155-174）
　他の欧州諸国にならって東アフリカとリビアを植民地とした小帝国をファシズム期に曲がりなりにも成立させたイタリアが、ファシズム体制を批判した戦後の共和制においても、それらの植民地を自国の影響化になんとか留めようとする外交活動を展開するが、米英仏ソの４大国の戦後戦略や独立したエチオピアの外交戦略に敗れていく過程を分析した論文。