視線一致型テレビ会議システム,従来型(視線不一致)テレビ会議システムを利用した遠隔学習環境と,対面学習環境における,一斉学習と協調学習による教育効果の差異を明らかにすることを目的とした。各学習では質問紙調査と客観学習評価測定(筆記試験および発言の採点により測定)を実施した。質問紙調査結果を因子分析し,各学習に対する学習行動因子と主観学習評価を得た。客観学習評価と主観学習評価を学習効果と定め,学習行動因子とともに,各学習に対し3つの学習環境における多母集団による共分散構造分析を行なった。結果,一斉学習と協調学習において,3つの学習環境とも共通して,コミュニケーションに関する学習行動は学習効果を大きく向上させ,飽き関する学習行動は学習効果を低下させる主要因であることがわかった。従来型は,各学習において共通して飽きや疲労に関する学習負荷や学習環境格差が認められ,新たな教授方術や学習環境整備が必要であることがわかった。視線一致型は,一斉学習において,対面学習環境に近い学習環境であり,協調学習では,対面学習環境以上に「弛緩・飽き」がおこりにくく「バーバルコミュニケーション」が円滑に行えることから,対面学習環境における教授方術をそのまま適応できることがわかった。
本人担当部分:全文本人が執筆
共著者:谷田貝雅典 永岡慶三 坂井滋和 安田孝美