『説日語』にはこれまで「陝西版」が2種類,その改訂版となる「西北版」が14種類(正規版6種類,海賊版8種類)見つかっていた。しかしその後の資料収集の結果,新たに陝西版に3種類の正規版と1種類の海賊版が見つかり,西北版でも5種類の正規版が見つかった。さらに外観は西北版を装いながら,本文等には陝西版を使った「西北偽装版」(海賊版)も2種類発見された。
西北版の正規版11種類は,1種類を除き手書き部分の筆跡から2系統に分けられ,両系統はおおむね足並みを揃えて改訂が行われ,残りの1種類は両系統を統合して作られたことが明らかとなった。
またこうした西北版の改訂のプロセスが判明してきたことにより,海賊版の底本をある程度絞り込めるようになり,さらに個々の誤植の由来についても解明できる場合があることが分かった。