本稿は前稿に引き続き,1994年西北大学出版社版『説日語』(西北版)と,その前身である1992年陝西旅游出版社版(陝西版:2種類ある)とを比較し,この日本語会話本の成り立ちについて考察した。特に本稿では漢字を用いて例文に振られたルビを手がかりに,この本の表音法に対する分析を行った。その結果,『説日語』の表音法には特に陝西版において方言の影響がより強く認められ,それが西北版の改訂では薄められていることや,陝西版から西北版への改訂で,表音法をより簡明なものにしようとしていたことなどが分かり,陝西版から西北版への変遷の一端を辿ることができた。21-36頁