戦国合戦図屏風と鎮魂
『文學藝術』、共立女子大学文芸学部
45号
慶長20年(1615)の大坂夏の陣を描いた「大坂夏の陣図屏風」(大阪城天守閣所蔵)は、別名「黒田屏風」と言うように、筑前国福岡藩黒田家に伝来した。この黒田屏風は戦国合戦図屏風には珍しく、落城後の落ち武者狩りや乱取りによる凄惨な状況が描かれている。それは誰が、どのような意図で描かせたのか。右隻に描かれている黒田長政の「一の谷兜」と、左隻に記されていた文字痕を手掛かりに追究した。