(学会報告)国民統合・観光・地域文化―ドイツ第二帝政期エルザスと「ヴォゲーゼン・クラブ」(1872-1914)
日本西洋史学会第52回大会(於都立大学)
この報告では、国民意識と地域意識の形成と相関関係について、ドイツ帝政期(1871年~1918年)のアルザスを例にとりながら考察した。具体的にはドイツによる併合直後に結成された文化団体「ヴォゲーゼン・クラブ」に注目し、地域文化の保護・観光事業の推進がこの地方のドイツへの統合と密接に関連していたことを明らかにした。同時にこうした団体の活動、郷土意識と国民意識の結合のこころみはこの地方だけに限られたものではなく、この時代全般において看取されるものであることも指摘した。